咳外来

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長引く咳の原因

当院では、咳止めは処方しません。咳喘息、逆流性食道炎、副鼻腔炎、感染症(マイコプラズマ、百日咳、結核、肺炎)、降圧剤の副作用などを的確に診断し、病気を治療すれば容易に治ります。

 

原因と思われる病気のリストです。

1 )感染症(マイコプラズマ、クラミジア、百日咳、結核、RSウイルス感染症)
2 )咳喘息、気管支喘息
3 )アトピー咳嗽
4 )逆流性食道炎
5 )副鼻腔炎
6 )上咽頭炎
7 )慢性気管支炎(COPD)
8 )心臓喘息(心不全)
9 )好酸球性肺炎
10 )薬の副作用
11 )咽喉頭異常感症(心因性咳嗽)
12 )過敏性肺炎
13 )気管支拡張症
14 )びまん性汎細気管支炎
15 )肺癌
16 )間質性肺炎

上記の病気を正しく診断して、病気に効く薬を服用すれば、咳は治ります。 咳止めでは治りません。

喘息

咳喘息

風邪を引くたびに、咳が長引く方がみえます。夜間、特に早朝に咳が発作的にでます。喘息にみられるひゅーひゅーする呼吸困難がなく、咳だけが長引く病気が咳喘息で、咳止めを飲んでも治りません。一般的には乾性の咳(痰を伴わない)が長引きなかなか治りません。喘息の治療の吸入ステロイドを使用すれば簡単に治ります。軽症にはロイコトリエン拮抗薬を使うことが推奨されています。咳喘息の30%は2年以内に喘息に移行します。咳喘息では吸入ステロイドを継続して治療し喘息に移行しないようにすることが大事です。 

気管支喘息

症状として反復する発作性の喘鳴、咳、呼吸困難があります。原因は気道の慢性の炎症で、気道が過敏になり、少しの刺激(アレルゲン)で炎症が続き気管支の壁が厚くなり、気管支の筋肉が収縮して気道が狭くなり、息がはけなくなり発作を起こします。吸入ステロイドは気道の炎症を抑える基本的な治療です。症状がないときでも定期的に使用し、気管支の炎症を抑えることが大事です。気管支拡張薬は発作で狭くなった気道を広げるための一時的な治療で、対症療法にすぎません。大事なことは症状がなくても、吸入ステロイドを毎日続けることです。 

アトピー咳嗽

咳喘息に似て乾性の咳が続きますが、気管支拡張剤が効きません。抗アレルギー剤が効くことが特徴です。これで不十分の場合は吸入ステロイドを使います。咳喘息との違いとして、好酸球炎症の局在の違いがあります。咳喘息は末梢気道にも好酸球炎症がありますが、アトピー咳嗽では、好酸球炎症が中枢気道に限局しています。そのため、アトピー咳嗽は喘息に移行する心配はありません。

副鼻腔炎

副鼻腔炎は一般に蓄膿症と言われています。風邪を引いた後にいつまでも鼻水、鼻づまり、咳が治らない方がよくみられます。また、花粉症に副鼻腔炎が合併することもよくあります。鼻づまりがあると鼻水が出なくなり、のどに垂れてきて、その刺激で思わず咳き込んでしまいます。風邪の後に痰(実は鼻水)がいつまでもからんで咳が続く方はたいていは副鼻腔炎と思われます。急性副鼻腔炎はほとんどがウイルス性で、細菌性は0.2~2%とわずかです。従って、抗生物質はほとんどの場合、必要はありません。 慢性化した場合の一般的な治療法はマクロライド系抗生物質(クラリス、クラリシッド)の少量長期療法で、3ヶ月ほど服用します。それでも、長期間、通院しても治らない方が多くみえます。一部の耳鼻科では簡易鼻腔洗浄法を勧めて効果をあげています。当院では抗生物質はあまり効果がないので処方しません。咳がでていても咳止めは効かないので処方しません。漢方薬を2~8週服用すれば、ほとんどの方は比較的簡単に治ります。

逆流性食道炎

胃酸が胃から食道へ逆流して胸焼けを起こすことはよくみられますが、のどを刺激して咳が続く方もあります。このような場合は咳止めを服用しても咳は止まりません。逆流性食道炎の治療をすれば咳は簡単に止まります。
降圧剤(カルシウム拮抗薬)の副作用で胸焼けになることがあります。その場合は降圧剤を他の薬に変更します。治療は胃酸を出ないようにする薬PPI(パリエット、ネキシウム、オメプラール)、胃の動きを改善する薬(ガスモチン、ガナトン)を処方します。それでも改善しないときは、胃もたれを改善する漢方薬が有効です。

咽喉頭異常感症

ストレスが強くのどが気になり、のどのつまった感じがする症状です。神経質のためにのどが気になって、はじかゆくなり、思わず咳がでてしまいます。更年期頃によくみられます。漢方薬が効きます。ご相談ください。

薬の副作用

薬の副作用で咳がでることがあります。降圧薬にも色々な種類がありますが、高血圧でACE阻害薬を服用している場合は、1割くらいの人に、咳の副作用があります。その場合は薬を、他の薬に変更すれば、咳は出なくなります。

ACE阻害薬のリスト

カプトリル、レニベース、セタプリル、アデカット、インヒベース、ロンゲス、ゼストリル、チバセン、タナトリル、エースコール、コナン、オドリック、プレラン、コバシル

 

ただし、当院でも上記ACE阻害薬の一つを処方しています。

上咽頭炎

上咽頭は鼻の一番奥ののどの上にあります。かぜの後に炎症を起こすことがあり、鼻水がのどに垂れて咳が続くことがあります。この病気は一般的には一部の耳鼻科医以外では理解されていません。咳以外にも頭が重い、肩がこる、耳閉感、耳鳴り、めまいなどの自律神経に関係した不定愁訴もでることがあります。
治療法は上咽頭の炎症を抑えるために、副鼻腔炎の治療をして治ることもあります。それでも治らないこともあり、鼻うがいが効果的といわれています。アズノールうがい液を鼻から入れてのどから出す治療です。また、一部の耳鼻科ではBスポット療法という上咽頭に直接、塩化亜鉛を塗る治療が行われています。
副鼻腔炎でもないのに副鼻腔炎のような後鼻漏、咳が続いている場合は上咽頭炎を疑い、治療をします。当院では、漢方薬を処方し、後鼻漏、咳が1〜2ヶ月で治っています。

感染症

感染症では咳以外にも発熱、頭痛、痰などがあります。

 

1 )マイコプラズマ
最近(2011年~)、流行しています。マクロライド系抗生物質に耐性の菌が多くて、治りが悪いこともしばしばです。 症状は乾いたがんこな咳が続くことです。そのほか、強い咳による胸痛、頭痛、咽頭痛、発熱がみられることもあります。診断は問診で見当をつけ、X線写真(典型的にはすりガラス状の陰影、たいていの場合は正常です)、血液の抗体検査(抗体価が上昇して診断ができるまで2週間必要)な どですが、臨床的な症状により、抗生剤を処方しています。耐性菌が疑われる場合は小児 にはミノマイシン、大人にはニューキノロンを処方します。

 

2 )クラミジア 肺炎
熱のほとんどでない乾いた咳がいつまでも続きますが、無症状や自然に治ることも多くみられます。気管支炎、肺炎まで進行するのは5〜10%くらいです。気管支喘息の症状が悪化することもあります。感染者は小児から高齢者まで。治療もマイコプラズマと同じです。

 

3 )百日咳
2週間以上咳が続き周囲に咳をしている人がいて息が止まるような咳、咳き込みとおう吐が特徴です。 咳で肋骨が骨折することもあります。

 

4 )結核
咳が長く続く場合は結核を疑い胸部X線写真を撮影しましょう。微熱、寝汗が続いたり、体力が低下したりします。排菌すると、ほかの人に感染する危険があります。

かぜの治療

9割以上のかぜは、ウイルスによる感染症です。高校の生物ですでに勉強している基本的なことですが、ウイルスと細菌はまったく違います。ウイルスは小さ過ぎて、普通の顕微鏡では見えません。電子顕微鏡でないと見えません。細胞壁などの構造もなく、細胞質もなく、感染しても細胞の外では増殖できないので、動物の細胞内に入り込んで複製して増殖します。抗生物質は細菌には効きますが、ウイルスには効きません。
抗生物質に対する耐性菌が増えています。かぜに効かない無意味な抗生物質を処方して、服用して耐性菌を増やし、いざというときに効かなくしています。また、抗生物質の副作用で命に関わることもあります。中国では年間、抗生物質の副作用で8万人死亡していると報告されています。注意してください。

咳止めの薬

咳止めは、慢性の咳には効きません。咳止めでは病気は治りません。病気を治さないと、咳は出ます。 痰を伴う咳に、咳止めを飲むと、細菌を痰の中で増やして(培養)、肺炎になります。痰の中に細菌がいるので、咳で痰とともに細菌を体外へ捨てます。

 

急性期の咳で夜も眠れないときや、肋骨を骨折するような激しい咳のときは、咳止めを使用します。

 

1 )中枢性麻薬性鎮咳薬
コデインリン酸塩
ジヒドロコデインリン酸塩
メテバニール
<鎮咳去痰配合剤>
セキコデ(コデインリン酸塩)
濃厚ブロチンコデイン(ジヒドロコデインリン酸塩)
フスコデ(ジヒドロコデインリン酸塩)
カフコデN(ジヒドロコデインリン酸塩)
オピセゾールコデイン(ジヒドロコデインリン酸塩)

 

2 )中枢性非麻薬性鎮咳薬
アスベリン
メジコン
アストミン
レスプレン
トクレス
フスタゾール
フラベリック
コルドリン
ノスカピン

咳止め薬の副作用

1 )中枢性麻薬性鎮咳薬
依存性、呼吸抑制、錯乱、気管支痙攣、麻痺性イレウス、眠気、吐き気、嘔吐、便秘、排尿障害、めまい

 

お酒を飲んで、咳止めを飲むと副作用が出やすいので注意してください。咳止めをのんで運転することも危険です。

 

2 )非麻薬性鎮咳薬
めまい、口渇、眠気、食欲不振、便秘、頻脈

風邪薬の効果に根拠なし

最近、ヨーロッパ、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどの先進国ではかぜ薬の咳止め、解熱剤、抗生物質、抗ヒスタミン剤に効果の根拠がないと言われています。効果がないうえに、副作用があり、6歳未満の子どもには、市販のかぜ薬は販売しないように規制されています。最近、日本でも厚生労働省がかぜのOTC薬の添付文書に「2歳未満の乳幼児には、医師の診療を受けさせることを優先し、やむを得ない場合にのみ服用させること」と記載するように指示を出しています。しかし、日本の医療機関でも、同じようなかぜ薬が処方されています。注意してください。

子供の長引く咳

1)RSウイルス感染症

2歳までに感染する。

発熱を伴う 。
冬期(特に12月)に感染する 。
20〜45%が細気管支炎になる(1歳未満)。呼気時にぜーぜーする。
6ヶ月未満の乳児、早産児は重篤化しやすい。1%が入院する。

 

2)百日咳
乳幼児に多い。6ヶ月未満の乳児は重傷化する 。
3種混合ワクチン(DTP)の予防接種で予防可能 。
かぜの症状から始まる。発作性の乾いた咳が続く。
けいれんするような咳で、息が出せなくなるまで咳き込みおう吐する。
吸気のときにひゅーと音がする。マクロライド系の抗生剤で治療する 。
診断は白血球数、リンパ球比率の増加が参考になる。

 


3)マイコプラズマ感染症
幼児~学童に多い。特に5~12歳。
マイコプラズマは細胞壁を持たない細菌です。
乾いた咳がいつまでも治らないのが特徴です。
発熱は90%くらいみられる。
白血球は増えない。
胸部X腺写真は正常なことが多いが、すりガラス状の陰影が特徴。
診断は血清抗体価の上昇(急性期と回復期の2回採血)
治療はマクロライド系の抗生剤。
最近は、耐性菌が多いので、ミノマイシンを使用。

 


4)咳喘息
乾性の咳がいつまでも治らない。
かぜに続いて起きることが多い。
咳は夜間から明け方によく出る。
気管支拡張剤が効く。

 

5)副鼻腔炎
かぜがこじれて、鼻かぜが長引く。
鼻が詰まり、鼻水がのどに垂れて、その刺激で咳き込む。
副鼻腔炎になりやすい子どもが多い。
かぜの後に痰(実は鼻水)を伴う咳が長引くことが多い。
遷延性気管支炎の多くは後鼻漏を伴う副鼻腔炎、上咽頭炎の可能性あり。

 

6)胃食道逆流症
胃液が食道に逆流して、咳がでる

 


7)心因性咳嗽
ストレスで出る。のどが詰まった感じがする。

解熱剤

かぜに解熱剤を処方する医者が多くいます。日本では、座薬解熱剤が流行しています。先進諸外国では、使われていません。解熱剤は「医業盛業薬」の役割を担っています。
かぜを引くと高熱になるのは、ウイルスを殺すためです。熱を下げると、ウイルスが増えて、治癒が遅くなります。ウイルスは高温に弱く、38℃になると分単位、39℃になると秒単位で不活化します。
また、最近の研究では、熱でマクロファージが活性化し、38.5℃くらいまで上昇するとマクロファージが病原体を食べる働きがマックスまで増強します。

抗生物質の使用の原則

一般的なかぜはウイルスが原因です。従って、抗生物質は不要です。
なぜ、かぜで病院を受診したときに、抗生物質がでるのでしょうか。日本では大学病院で感染症の教育がないからです。医者になって、上の先生がやっているのを見ながら、適当に抗生物質をだしています。また、製薬メーカーから、説明会、講演会で抗生物質の使い方について洗脳され、間違った使い方をしています。ほとんど、自己流の治療が主流です。
抗生物質を使うときは、診断をすることが前提です。熱があるから抗生物質は間違っています。感染臓器を特定し、ウイルス感染を否定して、原因となる細菌を予測して抗生物質を使用します。

花粉症

鼻水を検査して、アレルギー性鼻炎の診断をします。採血をしてスギ、ダニ、カビなどのアレルギーを特定します。治療はステロイド点鼻薬、点眼薬、抗アレルギー薬を処方しています。ステロイド点鼻薬は眠気、口の渇きなどの副作用がなく効果も良好です。

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